セーリング ISAF WORLD SAILING CHAMPIONSHIPS
wrote by ueno

 今年の世界選手権は、ユーラシア大陸の最西端「ポルトガル」にて開催されました。開催都市は首都リスボンから50qほど離れたカスカイスという街。今回は、日本が北京オリンピックに出場する権利「国枠」が懸かった大事な大会でした。国枠は日本選手誰が取っても良いのですが、自分達で権利を取るんだと意気込んで臨みました。事前の情報では、カスカイスは猛烈な強風という事でした。実際行ってみると、穏やか穏やか。5m/s前後の風で安定していました。「な〜んだ、吹いてないじゃん」と思っていたのですが、海の西の端を見てみると沖の海面の色が濃い!近づいてみると、くっきりとブローラインが。ブローに入るまでは3〜4m/sなのに、そのブローに入った瞬間一気に10m/sを超えます。いや〜、メリハリが効いてます。

大会で着用するように決められているビブス
470級のレースは、初日こそ軽風エリアで行われましたが、翌日以降は毎日強風エリアで開催されました。毎日15m/sぐらいの風が吹き込みます。特に上マークを回航後、サイドマーク・下マークに向かっている時が、最も強い風が吹き込みます。レース中吹き込んだMAXは、35ノット(風速18m/s)の突風でした。2日目の2レース目で、僕たちの後ろを走ってたイギリスのNickさん(アテネ五輪銀メダル)は、僕たちがスピンホイストしたのを見て慌ててスピンホイストしましたが、その瞬間突風が入ってデスマスト。それを見た僕らは、すかさずスピンダウン。いや〜、冷汗もんです。この日、470級で折れたマストの本数は計10本。それ以外のトラブルは数えきれません。マスト業者は「ウハウハ」でしょうね〜。そしてスピネーカーがバーストした艇は、20〜30艇ぐらいいたのではないでしょうか。
で、我らの結果ですが・・・。何故でしょう。初日からアルファベット。2レース目は6位、3レース目は13位と無難にまとめましたが、4レースでまたミスを。最終マーク直前まで2位を帆走、強風の為周囲の艇がランニングでもスピンアップをためらっている中、果敢にスピンホイストしましたが。。。バウ沈。もちろん攻めた結果なので後悔してませんが、2位から10位まで8点をロスしたのは大ダメージでした。5レース目は予選最終日でした。無難に走れば予選は通過できたハズでしたが、スタート直前に推進法違反。他艇に大きく出遅れたスタートになりました。マーク回航毎に順位を上げましたが、結局23位でフィニッシュ。予選合計順位は、トータル40位。38位までが決勝に進む事になり、僕らはシルバーフリートへ。38位までは2点差。25位までは15点差ぐらい。最終レースでシングルを走っていれば、全く違った結果になったでしょうが。でも、これが実力だと思ってます。どんなに練習で早く走れても、結果を出せなければ意味が無い。実際、事前の練習では日本チームでは一番スピードが出ていたと思うので、あとはレースで安定して前を走れるように練習するだけです。と言っても、これが一番難しいのですが。これからの練習は、お互いの仕事分担をハッキリ分けて、お互いが重複した事を考えたり・実行したりしない事。そうすれば、レース中も艇のスピードや周囲の状況を把握できる時間ができるので、より効率的にレースができると思います。
今回の結果は、オリンピック代表選考には影響ありません。これが不幸中の幸いでした。あとは、最後に笑えるように、選考レースまで必至に頑張るだけです!!

ここがヨーロッパ最西端のロカ岬です。
絶景でしたが、高所恐怖症の僕(松永)にはちょっと…
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