セーリング セール広島
wrote by ueno

久しぶりの優勝です。昨年は一度も優勝できなかったので、今回の優勝は本当に嬉しかったです。何よりもヨーロッパ遠征で、成績不振の原因が『スタート』にある事が分かり、そしてその課題を修正して優勝できた事が一番の成果です。ここ「観音マリーナ」は、今年の11月にオリンピック代表選考会が行われる会場。今年のセール広島には、470級の主要メンバーがほぼ全員揃い、まるでNT選考レースや全日本選手権のような感じでした。
僕達は、ヨーロッパ遠征中にレースで前を走れない原因を話し合い、そしてスタートに原因があると結論を出しました。そして、直後のイエールオリンピックウィークで、スタートが成功すれば世界レベルでも簡単に前を走れる事が分かったのです。このイメージを引き続き今回のセール広島でも意識し、積極的にスタートする事を心がけました。初日はスタートライン上で引き潮だった事もあり、全艇ラインに着いてから、どんどん流されていきます。そのような状況の中で、我々は他艇ではなくスタートラインを常に意識する事で優位に立つ事ができました。また陸風で風が不安定でありスタート直前に風が左に振れた事も、他艇より前にいたので早く気付き、早めの加速・下一での即タックスタートで、抜群のスタートを切る事ができたのです。

練習時のスピードチェック。なかなか速かった
新しいマストを使用していた事で1レース目・2レース目とトラブルがありましたが、艇速が抜群だったのでコースも左右どちらかに突っ込む必要もなく、真ん中から寄せて行けた事も安定した成績を出せた理由です。
2日目はシーブリーズが吹き、風は安定しましたが、私達は初日と同様に安定した結果を出す事ができました。実を言うと、今まで沖からの安定した風は苦手だったのです。というのも、風の変化が少ないので前を走っている艇を抜くチャンスが無いからでした。しかし、スタートで他艇に対してゲインを得ていれば、状況は一変します。前の艇を抜く必要は無い訳ですから。。。2日目に行われた3R・4R・5Rの順位を1−2−1で纏められたのも、しっかりスタートが出れたからでした。艇速があるので、フレッシュウィンドを掴むと行きたいエリアへ向かう事ができ、また他艇との競り合いでも微妙なラフ・ベアで競り勝つ事ができました。その結果、最終レースを前にして優勝を決める事になったのです。
繰り返しになりますが、今回の成果は、我々はスタートをしっかり出れれば必ず勝てるチームだと分かった事です。今までレースで勝てなかったのは、昨年の世界選手権でのリコール以来、リコールに臆病になっていた事が原因でした。ただし、ナショナルチームの中には、かなり高い精度でスタートラインの把握をできる選手がいます。私達も引き続きスタートを課題として、スタート技術の精度を高めていかなければなりません。さぁ、松永・上野組、ここからオリンピックまで突っ走りますよ〜!!

トップを快走するteam feelfine
最後に、今回のコースの一例を。2日目の第4レース、スタートラインの真ん中よりアウター側でスタートした自艇は、スタート後タックをして風上艇の前を通って右に展開しました。帆走中、ポートタックの風下艇が伸び、背中を並走していた他艇が自艇より遅れていたので、右が伸びていると確信。レグの1/3を消化した時点で位置関係に変化が無くなったので、タックをしてスターボードタックを伸ばしました。左に展開していた艇団とミートする事になりましたが、艇団の前は通れない。艇団の下で合わせてタックをする事も考えましたが、上マークアプローチの際の混戦を避ける為に後ろを通って左海面に出ました。この時点でレグの2/3を消化。もちろんセオリー通りこの時点で一度中央に寄せました。そしてアプローチの時は、スターボードアプローチで混戦している集団を尻目に、艇団の前で回航する事ができました。もし艇団にミートした時に合わせてタックをしていれば、オーバーセールや他艇のブランケットなどで順位を落としていた事は明らかです。このレースは、セオリーを守り確実にレースができた良いレースでした。
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